リチウムイオン電池とは?仕組みと構造・他の電池との違いを徹底解説

リチウムイオン電池とは?仕組みと構造・他の電池との違いを徹底解説

スマートフォン、ノートパソコン、電動自転車、そして電気自動車。これらの身近なほとんどの製品には「リチウムイオン電池」が搭載されています。

軽くて長持ち、さらに充電して繰り返し使える便利な電池として、今や私たちの生活に欠かせない存在です。

ですが、そもそもリチウムイオン電池とは何か?と問われたとき、その仕組みや構造、他の電池との違いまできちんと説明できる人はいるでしょうか?

この記事では、リチウムイオン電池の基本的な仕組みや内部構造、そして乾電池やリチウム電池との違いをわかりやすく解説します。専門用語もできるだけ噛み砕いて紹介していきますので、初心者の方でも安心して読み進めてください。

目次

リチウムイオン電池とは?仕組みと構造と反応式

リチウムイオン電池は、1990年代の実用化開始から急速に普及し、今ではスマートデバイスから自動車まで幅広く利用されています。

まずは、そのエネルギーの源である「仕組み」と「構造」、そして「化学反応」の基本を見ていきましょう。

リチウムイオン電池の仕組みとは?電気を生み出す構造と化学反応式

リチウムイオン電池の充放電の要は、その名の通り「リチウムイオン」です。リチウムイオンはリチウム原子が電子を1個失って電荷を持った状態の陽イオンです。

このイオンが電池の中で正極と負極を往復することで、充放電します。

リチウムイオン電池の構造

リチウムイオン電池には、以下の3つの主要部位があります。

  • 正極(+):通常はリチウム金属酸化物(例:LiCoO₂)
  • 負極(-):グラファイト(層構造の炭素)
  • セパレータ
  • 電解液:リチウムイオンが移動する媒体(有機溶媒とリチウム塩)
リチウムイオン電池の反応のモデル

放電時には、負極からリチウムイオンが正極に移動し、電子は外部回路を通って電流として流れます。充電時はこの流れが逆になります。

化学反応式(充電時)

正極: LiCoO₂ → Li₁₋ₓCoO + xLi⁺ + xe⁻ 負極: C + xLi + xe⁻ → LiₓC 全体: LiCoO₂ + C → Li₁₋ₓCoO₂ + LiₓC

この反応を通じて電気エネルギーが電池に蓄えられます。放電時は図と反対の反応が起こります。

式だけを見ると難しく感じるかもしれませんが、要は「リチウムイオンが電池内部を片道移動し、電子が外回りすることで電流が生じる」と理解すればOKです。

図でわかる!リチウムイオン電池の構造と中身のパーツ

構造的にリチウムイオン電池は、「薄い層を何層にも重ねたサンドイッチ構造」と言えます。その中身には次のような部品があります。

▼ 主な構成部品

部品名説明
正極(+)リチウム金属酸化物(例:LiCoO₂)で構成されます。放電時リチウムイオンがにここに取り込まれる
負極(−)主に炭素系(グラファイト)で構成。充電時にリチウムイオンがここに取り込まれる
セパレータ正極と負極を隔てる絶縁体。微細な穴がたくさん開いていて、正極と負極の短絡(ショート)を防ぎつつ、イオンだけを通す膜
電解液イオンの通り道となる液体。一般に有機溶媒+LiPF₆などのリチウム塩が使用される
集電体電流を取り出すための金属箔。正極にはアルミ箔、負極には銅箔が使用される
外装金属缶やラミネートフィルムで構成される
端子部電池の外部と電流をやりとりする接点。回路への接続ポイント

これらの部品は、層状に並べられ、巻かれたり折りたたまれたりして、電池セルとして形成されます。

セパレーターが破れると正極と負極が接触し、発火の原因になるため、非常に重要な安全部品です。また、電解液は揮発性が高いため、封止技術も重要です。

リチウムイオンとは何か?エネルギーのカギを握る粒子の正体

リチウムイオンは、周期表で最も軽い金属であるリチウム(Li)から生まれるイオンです。原子番号3のリチウムは、非常に小さく軽いため、電池にとって理想的な素材です。

なぜリチウムが選ばれるのか?

  • イオンとしての移動が速い:素早く充放電できる
  • 高電圧が得られる:他の金属よりも反応電位が高く、高出力
  • 軽量で高密度:少ない重量で大きなエネルギーを持てる

リチウムイオンは、電池の中を行ったり来たりする「エネルギーの運び屋」です。電子の流れ=電流を外部で起こすために、この小さなイオンが不可欠なのです。

他の電池との違いから見えるリチウムイオン電池の特徴

リチウムイオン電池の便利さは、他の電池と比べることでより際立ちます。乾電池やリチウム電池と比較しながら、リチウムイオン電池の特性を知りましょう。

乾電池・リチウム電池との違いとは?混同しやすい電池を比較

スクロールできます
種類繰り返し使用主な用途特徴
乾電池リモコン、時計、懐中電灯など安価・使い捨て
リチウム電池カメラ、測定機器など高容量・長寿命だが使い捨て
リチウムイオン電池スマホ、ノートPC、EV再充電可能・高密度で高性能

「リチウム電池」と「リチウムイオン電池」は名前は似ていても、まったく異なる用途・構造の電池です。見分けがつかずに、誤って充電しようとすると、発火の危険もあるため要注意です。

リチウムイオン電池の安全な扱い方。

リチウムイオン電池は、小さい体積に大きな電気エネルギーを貯めているため、扱いには注意が必要です。

▼ 安全な使い方

  • 純正の充電器を使う
  • 高温になる場所に置かない
  • 異常(膨張・熱・異臭)を感じたら即使用中止
  • 廃棄時はテープで絶縁して回収ボックスへ

なぜスマホやEVに使われるのか?二次電池としてのメリット

リチウムイオン電池は「二次電池」、つまり充電して繰り返し使える電池です。その中でも、以下の理由で最も採用率が高い存在となっています。

▼ 採用される理由

  • 高エネルギー密度:軽くてパワフル
  • 自己放電が少ない:長期間保存しても電力が減りにくい
  • メモリー効果なし:途中で充電しても劣化しにくい
  • 寿命が長い:数百回〜数千回の充電に耐える

そのため、バッテリー持ちが重要なスマホや、軽量化と長距離走行が求められるEVに最適なのです。

まとめ:リチウムイオン電池を正しく理解して安全に活用しよう

リチウムイオン電池は、現代の技術生活を支える存在ですが、正しく理解しなければ危険も伴います。本記事では、以下のポイントを整理しました。

  • リチウムイオン電池は、リチウムイオンの移動によって電気を生む充電式電池
  • 仕組みは化学反応に基づいており、高密度かつ再利用可能なのが特徴
  • 他の電池と明確な違いがあり、正しく見分けて扱うことが大切
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